「えっ!?ちょ、それはダメだって!りおりん、離れよう!!」
「んー」
さっきまで痛みに呻いていたやつとは思えない機敏さで友哉は吉倉と雪岡のところに行くと、吉倉に抱きついている雪岡の肩を後ろから掴んだ。
強くしがみついて吉倉から離れないかと思いきや、あっさり掴まれるがままに身体が傾いた雪岡は、そこで初めて友哉の存在に気付いたかのような表情を浮かべた。
椅子に座ったまま、ゆっくりと身体を反転させ友哉と向き合った雪岡は、また笑う。
「えへへ、今野くんだ」
ふわりと柔らかい笑みと共に小さく首を傾げた雪岡に、友哉がびっくりしたように何度も瞬きを繰り返した。
「り、りおりん?」
「さっき、ごめんね……?」
首を傾げたまま、ゆっくりとした動作のまま。
雪岡はその細く白い手を伸ばして、ぶつかったせいで微かに赤くなった友哉の額にぴたりと掌を触れた。
抵抗することも忘れたかのようにぽかんとした表情のまま、友哉は触れられるまま、雪岡の手を払い退けることもふざけて笑うこともできずにいる。
「あっつくなっちゃったね」
ぶつかって熱を持った額に、ふふっと笑いながら言う雪岡。