「……だからもう一回言わせてほしい」


優しくて温かい声が、心の奥まで響く。


「……好きだよ」


「っ」


水無月くんが涙を拭ってくれた頬を、また新たな涙の雫が伝っていく。

嬉しくて幸せな涙が、こんなにも意識とは無関係のところで出てくるなんて初めて知った。



「……私も、好き、です……っ」


嗚咽を抑えるのに必死で、途切れ途切れのセリフになってしまったけれど。

私の返事を聞いた水無月くんは、優しく笑ってくれた。


「……ありがとう」


呟くような水無月くんの言葉が耳に届くと同時に、繋がれていた手が引っ張られて引き寄せられる。


気付けば優しく、温かく抱きしめられていて、余計に涙が止まらなくなった。


「好きだよ。

雪岡も、……雪岡の、ピアノも」


────水無月くんは私のピアノを甘い音だって言ったけれど。

水無月くんの声だって、言葉だって、すごく甘くて温かいと思うんだ。


私の胸に、心に、ふわりと溶けていくその言葉は、どうしようもなく私を幸せな気持ちにさせてくれるの。