「……何言ってんの。勘違いだろ。……俺があいつのこと好きとか、冗談でも言うな」



ズキン、とさっきとは違う音を立てて心臓が揺れて、ぎゅっと胸を圧迫したような感覚。



────何か痛みをこらえたような、冷たい声だった。



「……っ」


思わず、唇を噛んだ。



……ほら、やっぱり。



水無月くんが私のことを前よりは受け入れてくれてるのかもしれない、なんて。


……好きになってくれるかもしれない、なんて。


ただの、思い上がりだったんだよ。




「痛……」



無意識のうちに爪を立てて握りしめていた掌には、くっきり爪の痕が残っていて、思わずそう声を漏らしていた。



私の声、さっきは水無月くんまで届かなかったから、きっと油断していた。



「……雪岡!?」


「っ!?」