再び私の動きを引きとめたのは、女の子の声に続いて聞こえてきた、告白されている男の子の声だった。
「……ごめん」
────ドクン。
さっきとよりずっと大きく、心が揺れる。
少し掠れた声は、申し訳なさが滲み出ていて。
相手の女の子を気遣っているのが、すごく分かって。
……私の告白を断ったときとは比べ物にならないくらい。
まるで別人みたいに優しいその声は、紛れもなく────。
「どうして?やっぱり……、航くんは雪岡さんのことが好きなの?」
涙の滲んだ声でそう言った女の子のセリフに、「え」と思わず声が零れていた。
ハッとして掌で口を塞いだけれど、どうやら私の背後の喧騒にかき消されたらしく、ふたりには私のそんな微かな声は届かなかったようでホッとする。
……って、安心してる場合じゃないよ。
どうして私の名前が出てくるの!?
しかも、水無月くんが私のことを好きだなんて、そんなことあるはずないのに……!