無駄にドキドキして、余計に緊張して。
水無月くんの態度はいつもと変わらないのに、私ばっかりいつもと違う雰囲気に心を揺さぶられてる。
報われない恋だって言うことは分かっているし、ちゃんと諦めるつもりなのに、いつまでもときめいてしまう自分の心が怖い。
意識してしまうあまり、まるで水無月くんを拒絶しているような仕草になってしまう自分が情けない。
「……はぁ」
……どうしたら、もっと近づけるんだろう。
逃げずにいられるんだろう。
ドキドキするのに、やっぱり好きだって思うのに、……それでも、底の見えないこの恋心を抑えようとしてるのに。
近づきたい……、でも、これ以上好きになっちゃいけない。
矛盾したふたつの想いは、私の心の中で強くぶつかりあって何の解決策も見えないままで。
思わず零れた小さなため息は、ただただ、情けない憂いに満ちていた。
「……俺と一緒なのがそんなに嫌なら、フロアの誰かと代わるよ」