「え、あの、そういうことは思ってないんですけど」


自分でも無意識の行動だっただけにどう言い訳したらいいのかもわからなくて、もごもごと言葉が口から出ていかないまま、俯いてワッフルを作る手だけを動かす。


水無月くんは何か言いたそうだったけれど、もうひとつため息を吐いただけでそれ以上は何も口にしなかった。


……どうして、ふたりになるとこうなんだろう。


昨日の買い出しの時は、もう少しマシな態度をとれていた気がするのに。


私はチョコのワッフルを作り終えて、紅茶を準備するためにその場を離れながらそんなことを思った。


……どうしても、意識しちゃうよ。


しかも今日は水無月くん、なんだかいつもと雰囲気違うんだもん。


カフェの女子がみんな、ひらひらのウェイトレス服なのと同じように、男子は白いシャツに腰で巻くタイプの長く黒いエプロン。

大人びて見えるのはきっと、服装だけじゃなくていつもはそこまで気をつかってなさそうな無造作な髪もちゃんとセットしてるからなのかも、とか考えちゃって。