私と水無月くんがぽかんとしていると、フロア担当の女の子が「さっきの注文まだ?」と顔を出してきた。
「ていうか、このみちゃんと今野っちはどうかしたの?なんですごい勢いで逃走していったの?」
「あー、うん、それは俺らもよくわかってないからさ。とりあえず注文な。なんだっけ?」
「え?まだ作ってないの!?しっかりしてよー!チョコとイチゴ、紅茶ふたつ!」
早くしてね!と言い残された言葉に、私は慌てて作業に移った。
このみちゃんにはあとでちゃんと謝らなくちゃいけないけど、とにかく今はワッフル作らなきゃ!
「えと、チョコだから……」
「じゃあ俺イチゴの方やるわ」
スッと自然に隣に並んだ水無月くん。
水無月くんはさっきまでこのみちゃんがいたのと同じ場所に立っているはずなのに、どうしてかずっと至近距離のように感じてしまって、無意識のうちに少しだけ身体を離してしまっていた。
「……何もしないって」
私の行動に、怪訝そうな顔をして水無月くんがため息をついた。