今野くんの手を払い、押しのけて、するりと私の横を抜けたこのみちゃんが、厨房からフロア、そしてガラッというドアの開く音に教室を出ていってしまったのが分かった。
ど、どうしよう、私のせいだ……!
本当、私のバカ!!
どうしてうっかり口滑らせたりしたの、もう……!
自分の愚かさに泣きたくなっていると、不意に今野くんが水無月くんを呼んだ。
「航、今手空いてるって言ったよね」
「え?ああ」
水無月くんもいきなりの展開についていけていないのか、戸惑ったような声。
「フロアの方は人足りてるからさ、このみんの代わりにちょっと厨房入ってて」
「は?」
「じゃ、よろしく」
言うが早く、今野くんはタッと駆け出すと、このみちゃんの後を追いかけるように教室を出ていってしまった。
「……えっと」
「え、何この状況」