再びしゃがんでこのみちゃんに目線を合わせるけど。
このみちゃんの言葉の意味が分からず首を傾げれば、このみちゃんにクスッと笑われてしまった。
「梨音、ヘンな顔!眉寄せすぎだよ」
「え!?だ、だってこのみちゃんの言ってる意味がわかんないから」
思わず額に掌を当て、慌てて皺を伸ばす仕草。
そんなことしたって仕方ないことに気付いたのは、その素振りをこのみちゃんにまた笑われてしまってからだった。
「さてっ!仕事仕事!」
すっくと立ち上がり、掴んでいた私の手首を引っ張り上げて私のことも立ち上がらせてくれるこのみちゃん。
ふたりで並んで作業台に立って、そこでふと、さっき今野くんがこのみちゃんに何かを言っていたことを思い出した。
「そういえば、さっき今野くんに何を言われたの?」
今野くんはわざわざこのみちゃんの耳元に口を寄せて、まるで内緒話をしてるみたいだった。
私に聞かれたくないことだったのかな?
なんて考えながらそんな疑問を口にすれば、急にこのみちゃんが動きを止めた。