私も、教室の前のドアから先生が入ってきたのを見て、慌てて席に着いた。


……次は、化学の授業だ。


そこまで得意な教科じゃないし、ちゃんと授業に集中しなくちゃ。



……って、そう思うのに。




「……」



はぁ、と思わず小さなため息が零れた。



……集中なんか、できないよ。


先生の説明も黒板に書かれた化学式も、全然頭に入ってこない。



理解できない自分の感情。


水無月くんが怒った理由。


このみちゃんの言葉の意味。



私の頭はそればっかりで、私にとっては化学式よりずっと難しくて大事な問題だと思った。