……廊下を歩いていた周りの生徒が、いきなり深く頭を下げ命乞いのような必死さで謝った私と、そして私に頭を下げられている水無月くんを、ぎょっとしたように見てたことなんて。
ギュッ、と強く目をつむったまま頭を下げていた私には、気付くはずもないことで。
「ちょ……っ!なんで謝るんだよ!?」
どうして、水無月くんがそんなに動揺したような上ずった声を上げるのか分からなかった。
え、これは怒ってるの?
……怒ってないの?
私、頭、上げてもいいの……?
と頭を下げたままどうしたらいいのか分からずにいたけれど、急にグイッと腕を掴まれ、さすがにびっくりして顔を上げた。
……それに。
「……え?」
目に飛び込んできたのは、困ったような表情の水無月くんだったから、さらに混乱してしまう。
……え、怒って、ない……?
「……とりあえず、超見られてるからね、俺たち」
「え……?」
水無月くんの言葉にハッとして周りを見れば、本当に注目の的だった。
かあああ、と勢いよく顔に熱が上る。