────先にハッとしたように我に返り、動き出したのは、水無月くんの方だった。



思い切り抱きつく格好になっていた私を、どこか動揺したように両肩を掴んで引き剝がす。

だけど、そのまま、両手を私の肩に置いたまま再び固まってしまった。


「……」



何も言わない水無月くんに、私もようやく頭が動きだしてきた。

何も言ってくれないのが逆に怖い。

この沈黙はもしかして……、ううん、もしかしなくても。



「……ご、ごごごごめんなさい!!!」



絶対に怒ってる。

きっと私に抱きつかれるなんて、言葉にならないくらい嫌だったんだ。

そう思った私は、勢いよく頭を下げて叫んだ。


昨日のことを謝ろうと思って引きとめたのに、また謝らなきゃならないことを増やしてるなんて、私ってどこまで水無月くんに嫌われちゃうんだろう……。


自分が情けなさ過ぎて、本当に嫌になる。