怒られなかったことに驚いて、ぽかん、と一瞬思考が止まってしまったけれど、私は慌てて
「ま、待ってください!」
と水無月くんを呼びとめた。
……謝らなきゃ。
私のせいで、昨日水無月くんまで作業を中断しなくちゃならなくなったこと。
家までわざわざ送ってもらったのに、告白なんてしちゃったこと。
そう思って、プリントを持っていない方の手を伸ばして、思わず水無月くんのカーディガンの裾を掴んだ、その時だった。
「きゃ……っ!?」
私に呼びとめられて振り返った水無月くん。
水無月くんを呼びとめようと一歩踏み出していた私。
丁度そのタイミングで、勢いよく教室から男子が飛び出してきて。
訳が分からないまま、ドンッという強い衝撃と共に、身体が前のめりに傾いた。