まだ怒られるのも冷たくされるのも決まったわけじゃないのに、私の頭の中はそんな不安でいっぱいだった。


「おまたせしました……」


教室から出た、昼休みで人通りの多い廊下。


おそるおそるそう声をかけると、水無月くんはいきなりずいっと片手で何かのプリントらしき紙の束を差し出してきた。



……え?



「えっと……?」


差し出されるまま受け取って水無月くんを見上げれば、ふいっと視線を逸らされてしまったけど、なぜかそこに冷たさは感じなくて。


……どうしてだろう……。


「注意点とか色々まとめたマニュアル。あと当日のシフト表も入ってるから確認しといて」


「あ、はい」


「……そんだけ。じゃあ」



素っ気ない口調で言うと、水無月くんはくるりと私に背を向け、普通科の教室がある方へ歩き出そうとした。