……どうして私はまた、好きだなんて言っちゃったんだろう。


しかも、て、手までつないでもらっちゃって……!


幸せだって感じていたのは、きっと私だけ。


水無月くんは優しいから、さすがに体調が万全じゃない私を放っておけなくて、昨日だけは優しくしてくれたんだ。触れるのを許してくれたんだ。



「バチがあたりそう……」


はあ、と思わずため息を吐いた。


『昨日は後片付けまかせちゃってごめんね』とこのみちゃんに言おうと思ったんだけど、ふいに軽く肩を叩かれ顔を上げた。


顔を上げた先に立っていたのはクラスの男子で、「雪岡さん、呼ばれてるよ」と教えてくれた。


その言葉に、誰だろう、と視線を教室のドアの方に向けて見えたのは……、水無月くんで。


「え、えっ?」


動転して、気付いたら食べていたパンを袋ごと机の上に取り落としていた。


だけど、そんなことに構っている余裕もなく私は席を立ち、慌てて教室の外で待つ水無月くんのところに足早に向かう。


水無月くんが私の教室にわざわざ来るなんて……。


え、もしかして昨日のこと怒られる?


それとも何かまた知らないうちに水無月くんの気に障るようなことしちゃったのかな……。