♯3


「あはは、梨音ったらチョコで酔っちゃったの!?あんた本当に可愛いんだから」


「……笑いごとじゃないよ」



このみちゃんが買ってきてくれた、アルコール入りのチョコレートを食べて見事に酔っ払ってしまった翌日。


このみちゃんと由奈ちゃんと一緒に教室で机を合わせてお昼を食べていた私は、昨日の話を聞いて可笑しそうに笑う由奈ちゃんに、しゅんと肩を落とした。


「でも、あんなに性格変わってたのにちゃんと覚えてるんだ?すっかり記憶飛んでるのかと思ったけど」


意外ー、と箸でつまんだ卵焼きを口に運びながら、このみちゃんが言う。



「……いっそ全部忘れてたらよかったのに」


というかもう、なかったことにしたい……!



「可愛かったから大丈夫だよ」


「可愛くないよ、ウザかったでしょ!?……どうしよう、また私水無月くんに嫌われちゃうよ」


現状でさえ、水無月くんの冷たい態度にかなり参っているというのに。


これ以上、嫌われたくないのに。


私に告白されてきっと嫌だっただろうなぁ、って思ったのに。