運命は廻る

何度も、何度も

それは、己の意志に関係なく

また、我々は罪の鎖で繋がれてしまったのだ

「さて、確認も出来たし・・・帰るよ、阿紺」

あの様子では気付いていないだろう。

すべて、運命によるものだと・・・

「確認とは、九尾の封印の事か?それなら最初から知っていたことであろう?
それ以外に何の成果が得られたのだ?」

「恋もまた”呪” 男と女は運命には抗えない。
それが今回の成果だよ」

「貴殿よ。普段から頭のおかしな小僧だと思っていたが・・・
とうとう頭のネジが全て取れてしまったと見える」

そう言いながら、阿紺は今日一番の溜息をつく。

札を切り裂いてやろうかとも思うが、西園寺当主に仕えてきた神聖な式神だ。そんなことも出来ない。

「あんな所で、円ちゃんの名前呼んじゃうんだもん。
あれで気付くなってほうが無理じゃん?
おしいなぁ。すっごい可愛いのに・・・」

(見つめ合う視線と、握りしめ合う手と手。
気付いていないのは本人たちだけ・・・)

「みんな、運命に抗うために力を付けようとしてるのに・・・
千年前の悲劇、その歯車はもう回り出しているのかもしれないな・・・」

繰り返す、廻り出す。

我々は糸のようだ。

絡まり合う糸を解く鍵は、あの少女に掛かっている。

「阿紺、巫女から目を離すな。命を掛けて護り抜くよ」

「御意」

もう二度と巫女の血は流させない。

今度こそ、影の護り人になろう。