「だが、十二神将の力を以てしても、完全なる封印には至らなかった」

海は九尾の封印は式神の力でも完璧なものではなかったという。

千影の張った結界が弱まっていたこと、菖蒲の力が未熟で完璧に式神を扱えなかったことが重なってしまった。

姉のような力もないのに妖怪退治なんて、なんて自分は莫迦だったんだろう。

「・・・もし、九尾の封印が解けたらどうなるの?」

何処かでこの青年が、皆が安堵するような言葉をかけてくれるんだと祈っていた。

自分たちが傷つかなくて済むような未来もあるのだと、信じたかったのだと思う。

けれど、現実なんてそんな甘いものではないとこの時の菖蒲にはわかっていた。