北条家に式神がいるなんて聞いたことがなかったし、何ができるかもわからない。


けれど…


それでも…



『夜刀は、主様の願いを叶えるために存在するのです。
想いは何よりも強い。主様の言霊と夜刀の力さえあれば、どんな願いも叶います…
さあ、主様。御言葉を具現化してくださいませ』



風は静かに頷いた。


「北条家代々の式神が夜刀、新たなる主、風が命ずるっ!
海に新たなる命を与えたまえーーー」


夜刀はその命を聞き終えると、巨大な金色の大蛇に姿を変えた。


そして、赤く染まった瞳から溢れた光が海を包み込む。


『この者に新たなる命を与えたまわん』