この感情が何なのか分かったとき、桜と柊花が現れた。


 自分たちに手を貸せば、何もかもが自分の思い通りになると・・・


 己が罪に溺れていた闇を、妖狐に付け入られてしまった。


「お前が・・・大切で・・・


 お前が好きだったんだ・・・誰よりも・・・」


 涙が頬を伝う。


 どうして最後の言葉のようなことを言うんだろうか?


 海は力の入らない手で、風の涙を拭う。