「円様、桜様がお待ちです。俺と一緒に来ていただけませんか? 貴方様がいなくなられて、桜様がご乱心なされて大変なのです」


「その前に聞かせろ、海。お前は、いつから俺達を謀っていた?」


「応える義理はないかと・・・」


 菖蒲はかばってくれている円の手を制して、海の前に立つ。


「海・・・? 何でそんなに泣きそうなの?」


「・・・っ!」


 海自身気づいていなかったのだろう。 菖蒲はそういうところには鋭い。


 人の気持ちを汲み取ることが出来るのは光巫女だからなのだろう。


「海にも、譲れないことがあるって事はわかるよ?
 だって、海は理由もなしにこんなことする子じゃない。
 海と風、それに凪さん・・・みんな大事な友達だもん」


 辛く当たってしまった事だってあったのに、海のことも、自分の事も友と呼んでくれる。


 初めて出来た、友達・・・


 だったら尚更、これ以上海に罪を重ねさせてはいけない。