円もそれをいとも簡単に受け入れていた。あんなにお互い求め合っていたのに、何処で違えてしまったのだろうか。


 封魔師と退魔師の関係はそんなにも脆い物? そんなものであっていいわけがない。


 円に何を言っても聞き入れてもらえず、自分と海は南川家へとお世話になるしかなかった。


「けれど、それが間違いだったんですわ。菖蒲様も、私達も・・・円様の側を離れてはならなかった・・・」


 目覚めてすぐあの屋敷から出た。


 屋敷の周り全体が物の怪に支配されつつあった。風は言霊の力を借りて、弱き物の怪を次々と消化していく。


 走り続けて、菖蒲の気が近いことを悟る。少し走る速度を落とし、木に隠れながら、ゆっくり近づいていく。