この場所が何処なのかは分からないけれど、兎に角走るしかない。


 もう、何十分も走り続けていることに気づいて、一旦立ち止まる。


 思った以上に体力を消耗していたのだと気づく。汗は止めどなく溢れているし、息が切れている。


 けれど、今は自分の神経が研ぎ澄まされているのか、力を持った九十九神は近くにいるようだが、妖怪の気配は今は感じない。


 自分の感覚を信じて、その場に腰を下ろす。


 見渡す限りの木々たち。今にも枝が伸びてきて、自身の身体が持っていかれそうだ。


 けれど、この場所は少しだけ雹零山に似ているような気がした。