「凪よ、ここが狐達に知られたようじゃな。この娘の力が、九尾の復活により強大になってしまったが為に・・・」


「・・・阿紺の浄化結界で、邪気は祓われるでしょうが・・・ 目を覚まし次第、ここを離れます。今の菖蒲ちゃんなら、円を助けに行くと言い出すでしょうし」


「わしも行こう。どちらにせよ、ここに留まるのは得策ではないようだ」


「恐れながら、そのお体では・・・ 結界も何もない場所に向かわれるのは、今の蓮華様には毒なのでは?」


 人としての寿命などとうに過ぎている蓮華の身体は、神聖な結界がなければどうすることも出来ないだろう。


 ”呪によって生かされている” 


 それが蓮華が、この現代に生きている理由なのだ。


「わしはのう、この時まで生きた理由は、この娘を助けるためなのではないかと考えておる。姉上を助けられなんだ自分の愚かさを、この娘で返したいのかもしれんな・・・ 己の身勝手なのじゃが・・・」