そのことを知ってしまった椿は、九尾の手下である八尾の狐 柊花に手を貸し、二人の間を引き裂こうとした。


「その頃の銀は、己が妖怪であったことなど忘れ、私や人間と共に生きて行くということを選んでくれていました。誰も傷つけず、人々を助けて行こうと、心穏やかに暮らしていた・・・」


けれど、人を化かし騙し合いさせることを得意とする狐達。それが何を意味するのか、菖蒲にも容易に予測することができた。


「椿は柊花から授けられた力で、私に成りすまし、銀の手下の狐を大量に始末した。それが、銀の妖怪としての力を目覚めさせてしまった・・・」


今の自分と桜は、栴と椿のような関係になってしまっている。千年前の悲劇を、繰り返してしまっている。


「その後のことは、あなたが知っている通りです。私は十二神将の力を借りて、銀を雹零山に封印した・・・
銀から唯一貰った、神具を媒体としてね・・・」