「あの時、自由を奪われた状態で何処か懐かしい感覚に陥った。心の奥底で、こうなることを待ち望んでいたのだと」


円も同じ気持ちでいてくれた。それだけで菖蒲は心が軽くなった。


「あたしも、同じこと思ってた・・・」


「そうか・・・菖蒲も、そう思ってくれていたのなら、俺は・・・」


こんな些細な会話でも心が踊る、安らかな時間。


「あたしね、自分の家に戻ろうと思うんだ。お姉ちゃんも帰ってきたし、あたしがここにいる意味はないし・・・」


円はなんて答えるのだろう。