桜達と別れたあと、菖蒲と凪は途方もなくただ歩いているだけだった。


「あの、凪さん・・・何処に行くの?」


「二人っきりになれるところ?言ったじゃない。今の君は東峰院に居てはいけないんだ」


「それってどういう意味?」


冷たい風が、菖蒲の頬を撫でて行く。時期は秋。夕方ともなれば薄着では少し過ごしにくい季節になってしまっていた。


「ごめん。薄着では連れ回してしまって。僕の家、この近くなんだ。そこなら誰にも邪魔されないで話ができるから、そこに行こうか」