「主様、ご無事で?」

「ああ、大事ない。時間がない。この術者を連れてここを抜け出すぞ」

「御意」

この場に吹いている風を頼りにこの場を去る円の心は、どこか乱れていることに、本人も動揺を隠せなかった。