「海、夢見の言霊を」

「俺の言霊の場合、時間制限が有ります。持って一刻ほど。
そのことをお忘れなきように・・・」

そう一言付け加え、夢見の言霊に取り掛かる。

『我の流れる陽の力を以て命ず。夢へと誘いたまえ』

海の詠唱が終わると同時に、円と琥珀は菖蒲の夢の中へと吸い込まれて行く。

「どうか、お二人ともご無事でお戻りくださいませ」

光の粒子が降り注ぐ中、海はポツリと呟いた。