「…なあ、須藤。」
「なんですか?」
「有難う。時を越えて、ここへ来てくれて。」
まるで別れの言葉のような台詞に、胸が苦しくなった。
軍帽で表情は読めない。
けれど、いろいろな感情が凝縮されたような声音だった。
「そんな、お別れみたいな、…。」
「…いや、今云っておかないと、気が動転して云えなくなりそうだから。」
「そう、ですか。……長門さん、わたしこそありがとうございます。この時代で、わたしの居場所は長門さんでした。感謝してもしきれません。」
そう言うと、長門さんは微かに笑いながら、わたしの頭を撫でた。
「…そろそろ艦隊勤務に行ってくる。」
「、はい。」
長門さんの背中を見送る。
その背中に手を伸ばしてみたが、届かない。
長門さんは振り向かない。
わたしと彼は、違う。