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「わたしはっ、生きていてほしいです…っ 、長門さんに…!」


そう云って、涙を流す少女に、俺は何の言葉も与えられなかった。
ただ、名前を呼ぶだけ。


霧島は覚悟していただろう。
俺もそうだ。
戦艦の心として生を受けた以上、そのフネと運命を共にすることは、当たり前だと思っていた。


だが、須藤は俺に生きていてほしいと云う。
例えその時が来たとしても、共に沈んでほしくないということだろうが、それはどうにも無理な話だ。

俺だって、生きていけるのならそうしたいと、どこかで考えている。
できるのなら、須藤と共に在りたいと思う。


俺は戦艦で、須藤は人間。
俺はこの時代を生きていて、須藤は未来を生きている。


どう足掻いても、交わることなどない。