フネに戻り、甲板で待っているように言われ、空を眺めながら長門さんを待った。
空は相変わらず綺麗で、どんなに眺めても飽きない気がした。
「待たせたな。」
視線を空から外し、長門さんに向けた。
手にはお酒を持っていた。
「そんなに、飲むんですか?」
お父さんの晩酌の何倍もの量。
わたしのお父さんも酒豪だが、その何倍も飲む長門さんには驚く。
長門さんは当たり前だと言うように、口元に笑みを浮かべた。
「酒は強いほうなんだ。」
「強いほうというか、強すぎだと思いますよ。」
「そうか? まあ、フネの中では一番強いな。」
長門さんはお酒を注いで飲み始めたので、わたしはお酒を注ぐ役を申し出た。
一瞬驚いた顔をした長門さんに、わたしは疑問符を浮かべた。
「? こういうのは女性の役目でしょう?」
「別にそんなしきたりのようなものに、須藤が従う必要はない。酒くらい、自分で注げる。」
「わたしがしたいんです。」
「陸奥は絶対嫌だと言うぞ。」と言い苦笑いをした。
「ふふ、そうなんですか? わたしはよくお父さんにしてあげますよ。」
「そうか、それなら頼んでもいいか?」
「よろんで!」