「…そう。平和なんだ、未来は。」


霧島さんの顔を見て、言おうとした全てを飲み込んだ。

泣いていたのだ、彼は。


「戦う、意味があるんだね。俺には。」


静かに流した涙は頬を伝い、雫となって、見慣れたアスファルトではない、砂利道に溶けていく。
一つ、二つ、やがて数え切れないほど多くの。


「生まれた、意味がある。」


拳を開き、そしてまた空気を掴む。
最後の雫が砂利道に落ちたとき、霧島さんはわたしと視線を合わせた。