「戦艦の、心…。」
「今は前線から退いているけどね。」


そう言って、肩を竦めていた。
艶のある黒髪がさらりと揺れる。


「長門のことをよく知る私が云っているんだ。陽菜は迷惑だとか思われていないよ。」
「…そうだと、いいです。」
「ふふ。それじゃあ海の方へ帰ろうか。長門も心配しているよ。私が送ってあげよう。」


三笠さんに付き添ってもらい、来た道を戻る。
といっても、無我夢中で走ってきたから道なんて覚えていないけど。


正気になって歩くと、けっこう長い距離を走ってきたんだと思った。
さっきは本当に何も考えずに走っていた。