「話を訊く限り、そんなことはないと思うのだけれど。」
「…でもわたし、本当に何もできなくて…。」
「長門は、面倒事を自ら抱えるような奴ではない。それに、迷惑だと思うなら、さっさと君を陸に届けたはずだよ。」
三笠さんは、にこりと笑う。
「何も心配することはないよ。霧島も、悪気があってそんなことを云ったわけじゃないと思うから。」
どうして三笠さんは、長門さんや霧島さんのことに詳しいのだろう。
三笠、…三笠って、もしかしたら。
数少ない知識の中から知っていることを引きずり出す。
確か、日露戦争のとき活躍した戦艦ではなかったか。
先生が熱弁していた気がする。
「もしや、"戦艦"三笠さんですか…?」
「ああ、そうだよ。私は長門や霧島と同じ存在さ。」