「いいんですか? 行かなくて。」
「案内してやると云っただろう。それに、気が向かんのだ、ああいうのは。」
「ああいうの?」


分からなくて、首を傾げた。
長門さんは苦笑いを浮かべると、口を開いた。


「見知らぬ女と飲むのは好きではないんだ。」
「え、あ、…そういうことですか。」


現代で言うスナックとか、そんな感じの類いだと思う。
そういえば海軍は女性に人気があったとか聞いたことがある。
確かに、白い詰め襟の軍服に身を包んだ姿はかっこいい。


「…須藤、案内が終わったなら酒に付き合ってくれないか。」


いきなりのお誘いに驚いて固まっていると、申し訳なさそうに言った。


「嫌なら別に構わん。」
「そんな…! わたしでよければ!」
「よろしく頼む。」
「でも、わたしお酒飲めないですからね?」
「酒の場にいるだけでいい。」