「須藤、居るか。」
「あ、います!」


控えめなノックと共に聞こえたのは、長門さんの声。
その声で、我に返った。


「どうかしたんですか?」
「陸奥が来たんだ。会わないか?」
「会いたいです!」





連れてこられたのは、会議室のような部屋。
机に寄りかかるようにして、恐らく陸奥さんであろう、女の子が立っていた。
黒く長い髪がよく似合う。


「あなたが陽菜ちゃん? 会いたかった!」
「わ、わたしもお会いしたかったです、陸奥さん!」
「敬語なんて使わなくていいよ! さん付けもなーし!」
「え、でも…。」
「いいのっ!」
「う、うん。」


陸奥ちゃんがわたしの手を握り、上下に振る。


「いつも周りが男の人ばっかりだから、陽菜ちゃんみたいな女の子と知り合えて嬉しい!」


笑顔が可愛らしい女の子だと思った。
失礼ながら、長門さんとは似ていない気がする。