「…わたしの話、信じてくれたんですか?」
「随分、飛躍した話だと思う。しかし、2013年とやらに日本の平和が存在しているというのなら、今、俺達が懸命に戦っていることは無駄ではないということだろう。…世界ではまだ争いが絶えないというのは、悲しいがな。」
そう言うと、くるりと背を向けた。
姿勢のいい背中が視界に映る。
「決して平和とは言い難いが、お前の時代に帰られるまで、ここにいるといい。」
「いいんですか…?」
「海を泳いで陸に行きたいというのなら、別に止めはしないが。」
「…ご迷惑おかけします。」
長門さんは「ああ。」とだけ返すと、帽子を深く被り直して、部屋から出ていった。
残されたわたしは、ここにいてもいいと言われてもどうしていいか分からず、濡れたままの制服を握りしめた。