どれだけしゃがんでいたんだろう


お母さんが亡くなってからもう3年も経つのに涙は枯れない


人前では一度も泣いたことはない


でも、1人になると寂しくてたまらないことがある



「おい!具合でも悪いのか?」

急に話しかけられ、びっくりして私は固まってしまった


真っ暗で顔は余り見えないが、スーツ姿の男の人が立っていた


「聞いてるのか?」


その人はもう一度話しかけてきた


この声、聞いたことがある


どうしてだろう?


「おい!」


『はい!すいません!』


自分の思考の中に入っていた私はびっくりして思いっきり立ちあがり、頭を下げた


頭を下げる私の頭に暖かい何かが乗った、何だ?と思い少し顔を上げてみると男の人の手だった


「大丈夫ならいいんだ


早く帰れよ!」


男の人はそう言うと私の頭の上の手をどけた....


「は、は、はい!」


私は恥ずかしい気持ちになり、もう一度頭を下げるとその場を立ち去った