「すいませんでした」
私は奥さまに頭を下げ、フロアの仕事に戻る
今日はホテルに帰って来るのが遅くなってしまったため、余計に怒らせてしまったのだ
今度から気をつけないと気を引き締める為に自分の顔をパチパチ叩く
よし!やるぞーーー
そう思い仕事を続けていると、元気のいい小さい男の子がフロアにある大きな階段で遊びながら降りてくる
お母さんは小さな赤ちゃんを抱っこしながら、「遊んではダメよ」と注意している
でも、お母さんが遊ぶなと言えば言うほど、小さい男の子はふざけていく
それを止めようと思い階段を上りはじめた時に事件はおきた
男の子がどこからどう見てもおぼっちゃまという雰囲気の男にぶつかり、その男が「うるせえな」と言ってその小さな男の子を突き飛ばしたのだ
突き飛ばされた男の子は体がまだ軽い為、そのまま階段下に投げ出されたのだ
私はその男の子を抱きとめるが私の力では踏ん張ることができない
せめてこの子だけでも怪我をしないようにと男の子を強く抱きしめる
私は20段ほど下の床に背中から落ちた
体の色々なところが痛むのを感じた
男の子は?
と思い、強く抱きしめていた腕を離して、男の子をみる
「大丈夫?痛い所はない?」
男の子は怖かったのか、少し震えている
「怖かったねーもう大丈夫だからね」
そう言って背中をさすっている男の子は泣きはじめた。
上から男の子のお母さんが青白い顔で降りてきた
「お子さんにお怪我がなくて良かったです」
そう言って、私が笑うと男の子のお母さんも安心したようだった
男の子を立たせて「今度は気をつけてね」と言って頭を撫でた
男の子はコクリと頷くとお母さんに抱きついた
私はそれを見て暖かい気持ちになった