「買いかぶりだ。私とて休息してい――」


「その居場所さえも、障害だらけというのにかね」


瞬間、空からナイフが降ってきた。


星かと思えば、どうやら稲光する刃物だったらしい。針のむしろに相応しい場が、一秒も経たずして出来上がった。


「落ちるべき足場を踏み誤ったな、――」


「っ……」


奴の姿はなく、あるのは私の腕にナイフを添える“彼”の姿。


私の名を呼び、泣いている。


「――、――」


名だけを呼ばれているはずが、滴り落ちる涙に『どうしてっ』と付属されていた気がした。


夢らしい唐突な展開だと冷静でありながら、泣く“彼”を目前にし、胸が締め付けられる思いもあった。