店長に運悪く捕まってしまったのは、近所の私立高校の制服を着た、女の子だった。
色を抜いた明るい髪は、耳が見えるまでにバッサリと切られている。
アッシュベージュの髪は彼女の真っ白な肌を映えさせていて、パッと見た瞬間に「別世界の子だ」。
そう、思った。
「何年生?」
「高2です。でも、ダブりだから18歳」
店長に対し彼女が答えるのを聞いて、初めて同じ歳だということを知った。
18歳の子が有名私立高校に素敵な格好で通っているというのに、私はと言えば朝から夜までコンビニバイト。
少しだけ、萎えた。
あまり話したくないらしく、彼女はスクールバッグから生徒手帳を取り出すと、私にズイと寄こして来た。
話しているのは店長なのだから彼に渡せば良いのにと思いながらも、私は無言で生徒手帳を受け取る。
私立松林高等学校2年、桜庭和花。
住まいはこのコンビニから徒歩圏内。
父親はいないらしく、連絡先は母親の勤め先になっていた。
その電話番号を確認し、私は驚き顔を上げた。