「じゃあーあたしそろそろ帰るねぇー」

「うん、気をつけてかえってねぇー?」

華は、そう言いながら玄関まで瑠璃を送り手を振った。

(ふぅーやっと帰った。)
玄関の扉を閉めながら、瑠璃との出会いを思い返す。

一年前
「あーあ、いくとこないし、どーしよっかなぁー」
華は、たった一つのボストンバッグと共に東京に居た。
何のあてもなくここまで来た華は、途方に暮れ、明日さえもわからない状況でホームの片隅に座っていた。

それでも華は、に居たときよりましだった。