違う違う違う……
はっとして目を覚ます。
(またあの夢か……)
何でもない日常にも入り込んでくるあの日々の出来事。
あたしのせいじゃない何度そう呟いたのだろう。何度後悔しようとも変えられるはずの無い過去の出来事。
そう思うことで封印してきたはずなのにフラッシュバックのように駆け巡る記憶、それを消し去るように、手首にあてる剃刀。
「ふぅ~」
安堵のため息が漏れる。
こうしないと気持ちが収まら無くなっていた。
「はぁーまたやっちゃったよ~」
切ったあとの一瞬の落ち着きの為だけに何度も何度も剃刀にたよってきたその細い腕は、切り傷だらけだった。