「へい、ボール回せ!」

「3番、しっかりマークつけ!」

部内の紅白戦。

といっても控えの選手たちがメインで俺達レギュラー陣はそれを観戦中。

「やっぱり坂下と塚原の動きが際立ってるな」

俺の横で俊が冷静にその様子を見ている。

上澤俊、我らがバスケ部の主将。

1年の夏季大会から俺と共に不動のレギュラーの地位にいるチームの司令塔。

「球際もっと激しく!仲間内でも当たり負けしてるようじゃ対外試合じゃ使い物にならないよ!」

背後からは気合の入った声。

俺達の顧問の井崎周子センセ。

生徒に交じるとどこにいるか分かんなくなる身長に細見の体型。

華奢な体なのにチーム随一のパワープレーヤーの秋秀にも当たり勝ちする、何と言うか凄いパワフルな人。

ちなみにシュウちゃんって呼ぶとかなり怒る。

前に秋秀がそう呼んだ時には、3秒後に床で悶絶してる姿を目撃していたりする。