次の日になっても熱は完全に下がらなくて、結局、三日、学校を休む事になってしまった。


 三日目の午後にもなると、熱は完全に下がって暇をもてあましてしまう。


 時計は午後2時。


 まだ、みんな授業中、だよね・・・・・。


 綾にメールしようかと考えて、授業中なんだよなぁと携帯を置いた。


 あれから榛くんとは会っていない。


 私が寝込んでたんだから、当然といえば当然なんだけど。


 小学校の頃はプリントとか届けに家に来て、「美伊、大丈夫か?」なんて部屋まで様子を見に来てくれてたんだよね・・・・・。


 やっぱり、小学校の頃とは違うんだよね。


 あの日のことを思い出して、はぁ~と溜息をついた。


 あの時、昔に戻れたような気がした。


 でも、本当は違う。


 熱があった私をただ、連れて帰って来てくれただけ。


 高校生になった榛くんは、私が記憶の中でいつも懐かしがってた榛くんと違うって事、昨日、やっと気が付いた。


 手首を掴んでいた大きな手、長い指を思い出して、寝転がったベッドの上で自分の手首を掴んでみる。


 1周するのがやっとの小さい手。


 榛くんの大きな手とは全然違う。


 私は榛くんの何を見てたんだろう・・・・・。


 嫌われてるって思って、見てるようで見てなかったのかもしれないな。


 目が合ってしまうのも、話しかけて無視されるのも、怖くて仕方なかった。


 思い出まで壊れてしまう気がして―――――。


 なんか私って、子供、だなぁ。


 怖がってばかりの子供だ・・・・・。