「お前はいいよな、何も背負う物なんてないだろ?」
ある日、客の男に言われた。
私からすれば、奥さんや子供がいて 愛してくれて背負っていかなきゃならない相手がいること自体、羨ましい。
「うん。梨華には何にもないよ。」
お腹の傷痕がずきりと痛んだ気がした。
ごめんね、と心の中で呟く
ごめんね ごめんね ごめんなさい
1日に何回も何回も謝る。
酔って帰って、吐いて、ろくにご飯も食べず、お酒を飲んで、吐いて
そんな生活を続けて、もともと太ってはいなかった身体は骨だけみたいになって
ある日突然倒れて、病院送りになった。