「どうかされました、清水先生?」

「あ…」


突然立ち止まった俺を不審げに見て、
高田先生は俺の視線を追ってビルへと視線をやった。
集団はすでにビルに入った後だった。


「?」



「…あ、あの!高田先生すいません、ちょっとトイレに行ってきてもいいですか?少しお腹が冷えたみたいで…。」

「ははは、貧弱ですなぁ。では、先に周辺を見回ってますんで、終わったら合流しましょうかね」

「えぇ、申し訳ないです…。じゃあ、あとで…」


高田先生を見送って、俺はビルへと走った。


5階建てらしきビルは、今の時間はほとんどが終わっているみたいで、営業しているのは5階の店舗のみみたいだ。

「pandora…?」

表式を確認し、ドアを開けた。
ドアを開けた瞬間、凄まじいほどの大音量が耳に響いた。

「うわっ…クラブかよ…」



「いらっしゃい。お兄さん、チケットはー?」

「あ…あの、持ってないんですが…」

入ってすぐ受付係であろうの女の子が、俺の全身を嘗め回すように見つめた。

「お兄さんイケメンだから無かったら特別に現金で良いよー?」

「あ、ありがと…」

「あ、ワンドリンクついてるからそこの男に注文してね」

俺は頷いて現金を払い中へと進んだ。




徐々に、耳を劈く大音量に慣れてきた。
辺りを見回し、目的の人物を探した。
沢山の人が居る。
大半が大学生くらいみたいで、多すぎて見つけるのは容易にはいかなそうだと思った。

が、意外にも、目的の人物である湊ちゃんはすぐ見つかった。

壁に背を預け、話かけてきた男と楽しげに話をしていた。

俺は、何だか面白くなくて、楽しげに音楽に身を委ね踊る人を掻き分け、まっすぐ湊ちゃんへと進んだ。






「湊ちゃんっ!!」