「こーら!今何時だと思ってんだー!生徒手帳出せ」
「えー、高田先生達だって出歩いてんぢゃんー?」
渋々と生徒手帳を出し、受け取った高田先生が生徒手帳の名前と学年をボードに書き写した。
ボードに三度名前を書かれるとペナルティーとして校舎裏と校舎全てのトイレ掃除を課せられる。
「大人は良いんだ!ほら、早く帰らないと明日は校舎裏掃除させるぞ!!」
「ははは、ほら、危ないから大人しく帰りなよ?」
「はーい…ちぇっー」
不満げながらも素直に帰っていく生徒の背中を見送って、高田先生と共に見回りを再開した。
「月曜とはいえ、多いですね…。」
「子供にはあまり曜日は関係ないんでしょうなぁ」
「ですかね。あ、あちらの公園行ってみましょうか?」
言って公園の奥へ目を向けて俺はその場に立ち止った。
公園を出てすぐそばにあるビルへ入って行く大学生くらいの集団が目に入った。
その集団の中に、俺の知る人物によく似た人がいた。
多分見間違いなんかじゃない。
あれは、妹の湊ちゃんだった。