隆尚さんはポケットからケータイを取り出して、着信相手を確認した。
「あ…、しまった!ごめんちょっと…」
あたしが頷くのを見て、隆尚さんはケータイの応答ボタンを押し電話に出た。
「?」
電話の主が誰なのか興味があり、あたしは自分のケータイを見るふりをして聞き耳を立てた。
「もしもしっ。あの、ちょっと用事ができてしまって……もうお店ですよね?すみません、ちょっと行けそうにないので…また後日埋め合わせさせてください。」
――お店?
行けないって、後日埋め合わせって…
誰かと何処か行く予定だったの…?
「……はい、すみません…。あ、もし良かったら、今から高田先生に連絡するんで代わりに付き合ってくださるか聞いてみましょうか?せっかくですし…」
――高田って、あの体育の脳細胞筋肉教師の高田先生?
ってことは、学校の人?
「多分神谷先生とって言うと喜んでOKしてくださると思いますし…」
「え!?」
――神谷、先生?
神谷先生と何処か行く予定だったの…?
え、二人って…?
うそ、どういうこと?
頭がグルグルする…
胸が、ギュッてする…!!
――ヤダ!!